シンプルライフとワークライフバランス

 
仕事が大方の場合において避けがたい苦役としてあるとすれば、仕事に奪われる時間の量に比例して人生は苦となる。生活の質を保つための要素として時間こそは金と同様に最も貴重な「生活資源」である。

時間を苦役に切り売りして、これもまた生活の大切な資源である経済力を手に入れている私たちは、生活を支える経済のために生活する時間を失う、即ち生活のために生活を失っていることになる。つまり生活の質を保つことを善く生きることの一つの現れであるとするならば、これは経済を優先するあまり生活手段のために生活そのものを失って、善く生きることから離れていっているということである。

とはいえいかに清貧で高尚な生活をしようと、もうひとつの重要な生活資源である経済力がなくては生活は立ち行かないから、働くことは軽視できない。だが、苦役から逃れられないのであれば、苦役に費やす時間は最小限に留めねばならないということだ。
 
ただし、苦役に主人公の役回りを渡してしまってはならない。自分こそは生活のために苦役にも時間を割いているのだというスタンスで、自分こそは生活資源の配分に関わる最高権限者として、必要により仕事という毒のある道具を生活の一局面で使っているという立場でなくてはならない。いつも。